「世界平和に向かっての祈りと行動」について 御挨拶

日中友好宗教者懇話会会長
日韓仏教交流協議会副会長
日中韓國際佛教交流協議会常任理事
日蓮宗 本山 藻原寺住職 持田日勇

第三回世界仏教フォ-ラムが、香港返還15周年にあたる記念すべき今年、この地において開催されましたことを心から慶賀申し上げます。

このテ-マに沿ってお話をさせて頂く前に、昨年、2011年3月11日に起こりました東日本大震災と大津波によって甚大な被害を受けました日本国民に対しまして温かな御援助を賜りました世界各国の政府と国民の皆様に対して篤く御礼を申し上げます。

特に韓国仏教宗団協議会では御来日下さり5月23日に鎌倉・光明寺で慰霊法要を行って頂き、多額の義援金を戴きました。中国佛教協会におかれましてもご来日下さり8月29日浅草・浅草寺に於いて慰霊法要を奉行して頂き、多額の義援金を頂戴いたしました。心から感謝を申し上げます。

それでは論題に沿ってお話しをさせて頂きます。

今日のように地球社会が緊密化された世界の中で、地球全体の平和が未だ実現されず、未来における実現の可能性は充分にあると思われますが、それには長い年月と膨大な人類の智慧と努力が必要とされます。

生物が本来持っている食物連鎖の中で弱肉強食の論理を変えていくのは人間の叡智でしょうし、それこそ仏教の教えであります。

敢えてこのように言いますのは、他の宗教においては自らの宗教の伸張を図るために闘争を繰り返すからであります。

仏教はそのような激しい戦いを繰り広げたことはありません。

基となる東洋思想は、絶えず共生の思いを以て共存共栄を図ってきたからであります。また少欲知足を実践してきました。

対して西洋思想は飽くなき欲望の充足と富の獲得を計ってきました。

近代文明の発展はその結果でありますが、現代における交通手段の発展は通信手段の進展を促し、その結果のグロ-バリゼイションは国際社会を普遍的なものにしてきました。あらゆる事象が相互に関連し合い影響し合うようになってきました。

更に科学技術の発達は大量虐殺兵器を作り上げ、かつてのような世界的な大戦争を起こすことは不可能となってきました。

しかし永い人類の発展過程の中で富の不分配は簡単には解消せず、富裕な国と貧困にあえぐ国との格差は当分の間続いていくと思われます。それによって起こる経済的な混迷は国際社会に政治的にも不安定をもたらしております。

大きな紛争は未だ惹起してはおりませんが、その種子は随所に見られます。その種子を育てないために大聖釈尊の大慈大悲の平等大慧の教えを人類社会に浸透させていかなければなりません。

国際社会が平和であるよう祈りと行動を共通化していかなければならないと思います。 それには富の再分配と欲望の抑制を図ることであります。

国家間では先進国の後進国への援助が当然のことでありますが、私達一人一人が志して何か支援を考え実行することです。

更に野放図な欲望の充実は地球環境の変動を招き、地球資源の枯渇を及ぼします。地球温暖化の危険が叫ばれて久しくなりますが、未だ適当な手段が共通認識となっていません。

「もったいない」を全世界に喧伝したアフリカ・ケニアのノ-ベル平和賞受賞者ワンガリ・マ-タイ女史が亡くなったのは残念ですが、女史の精神を生かしていかなければなりません。 「少欲知足」が今こそ自戒の志を含めて共通語とならなければならないと思います。

「少欲知足」は人間社会の中で生かされている個人としての自戒の言葉であると共に、生かしてくれる他者に対する思い遣り心でもあります。

現代の聖者趙樸初先生は人にとって一番大切なことは敬いの心を持つことだと教えて下さいました。

法華経の常不軽菩薩品の中に「我深敬如等、不敢軽慢、如等皆行菩薩道、當得作佛」(私はあなた方を深く敬います。敢えて軽んじたり、侮ったり致しません。なぜならばあなた方は皆菩薩道を行じ、必ず仏になるからです)と常不軽菩薩があらゆる人々に語りかける言葉があります。

「菩薩道を行じる」とは悟りの真理を携えて世界のため、人々のために慈悲を以て利他行を実践し、悟りの真理によって社会の浄土化(浄仏国土の顕現)の実現に務めることであります。

現代の常不軽菩薩といえる趙樸初先生は常不軽の精神を発揚し、「但行礼拝」(ただ、ひとえに礼拝する)に努められました。

先生の、あらゆる人をないがしろにせず、あらゆる人に慈愛を以て接し、全てを尊び、大切にする心こそ仏教が国際社会に向かって世界平和を訴え実現する道でありましょう。

世界の仏教者が国籍を超えて一つになっていくこと、共通の理念を確立してあらゆる時と所で富の平等と人種の平等を説き、その具体化のために常不軽の精神を以て少欲知足の実践を行っていくことを希求して止みません。

フォ-ラムのご成功をお祈り申し上げます。

合掌

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