世界的な危機を解決する上で仏教が根本的な活路を見出す働きを持つ

2015年5月28日、第12回「国連ウエーサクの日祝祭」国際仏教大会はタイで盛大に開催され、中国仏教協会会長の学誠法師が今回の大会に出席し、重要なスピーチを発表しました。学誠法師はスピーチの中で以下のように話しました。

今回の大会のテーマは「仏教と世界的危機」です。そこで世界的な危機を仏教がどのように解消するか、その慈悲と知恵についてはっきり示しました。

また学誠法師はこう強調しました。「我執は世界的危機の根源であり、我執を認識し克服することが世界的な危機を解消し、世界平和と調和を実現する根本的な道である。仏教は将来的に全世界的な新文明の形態の形成に必ず積極的な働きをもたらし、世界的な危機を解決する上で根本的な活路を見出す働きがある。」と。

以下は学誠法師のスピーチ全文です。

まず、私は中国仏教代表団を代表し、第12回「国連ウエーサクの日祝祭」国際仏教大会が高い名声のあるマハチュラロンコーン大学で三日間開催されることに熱烈な祝賀の意を表します!今回の大会は、タイ王室政府とタイのサンガ委員会の多大なる支援を得て、マハチュラロンコーン大学主催により、世界中80あまりの国と地区から1,000人あまりの仏教代表者が参加しました。大会のテーマは「仏教と世界的危機」であり、仏教がどのように世界的な危機を解消するか、その慈悲と知恵についてはっきり示しました。

今日、全人類が共に直面している世界的危機により、人類はすでに緊密に繋がり1つの運命共同体になっております。もっと早くこの点を意識していれば、人類はお互いに更に協力し合うことで危機に向かい合うことができ、危機を深刻化せずにすみました。このような世界的危機には以下内容が含まれます。

1.長い間、人間が生存環境に対し無制限に行ってきた略奪的な採掘と無節制な廃棄物の放出による生態系の危機
2.資源不足と生存発展の必要性からの2つの圧力下で生まれた戦争の危機
3.物質的発展の過度の追及から陥った信仰の危機。

この世界三大危機の形成には深刻な歴史的根源があります。先ず地理的大発見、文芸復興、宗教改革による現代文明の序幕が開き、現代文明の根本的な二大特徴を形成しました。つまり人間の個性的解放と自由の強調、科学技術の発展と応用です。本来これらは現代文明が過去の文明より発達していることを示すものですが、個性的な解放と自由が、拘束を受けない個人と集団の欲望の膨張に一旦変わってしまうと、迅速に発展する科学技術力の力を得ながら世界的な災難を醸成し、人間自身をさらに一層苦しめる深淵に推しやってしまいます。まずは一つの地区、一つの国から起こり、それから世界的な自然環境の悪化を形成していきます。先ずは二つの国からおこり、それから多国間で、更に世界規模の戦争を形成していきます。これが最高の証しです。人間が追求し信奉してきたものが更に深刻な災難と苦痛をもたらしている時、更に深いレベルで信仰の危機が起こっているのです。

危機が発生する根源は、外側ではなく内側にあります。生態の危機が発生する根源は人間の内側にある貪欲さから、戦争の危機が発生する根源は人間の内側にある怨恨から、信仰の危機が発生する根源は人間の内側にある愚かさにあります。貪欲、怨恨、愚かさの総根源は人間の内側にある我執にあります。人間の内側にある我執とは現代文明の中に見られる人間中心主義、民族中心主義など様々な人間中心主義のことです。

人間中心主義とは、我執が人間全体の集団の中に広がることから起こる、人類自体が世界の中心であるという誤った認識を指します。つまり他の動物、植物ないし全ての生存環境は人類が生存するために意味があり、それら全ては人類のために奉仕するべきものなので、よって人類はこれらすべてを心置きなく享受できるという誤った認識のことです。

民族中心主義とは、我執が自己の所属する民族全体に広まり、自己が所属する民族が一番優秀かつ最も高等であり、他の民族はマイナーで下等な民族なので、それらは全て自分が所属する民族への奉仕の為に存在するという誤った認識のことです。

人類中心主義は、人類が自然から無節制に搾取する為の合理的な支柱となり、人間の貪欲さを助長しました。その結果、最も深刻な生態危機を招きました。民族中心主義は、他の民族を恣意的に侵略する合法的な支柱となり、人間の怨恨を助長しました。その結果、最も深刻な戦争危機を誘発しました。これらさまざまな中心主義が点検や認識を得られないまま、ますます深みにはまっている時、人間は自己を見失い環境や他人を傷つけながら、自分自身をも苦痛の深淵に追いやっているのです。

我執とは世界的危機の根源ですから、我執を認識し克服することが世界的危機を解消し、世界平和と調和を実現する根本的な道となります。これは非常に難しく長い道のりです。これを実現するために、お釈迦様は出家修行の道を選び遂に我執を克服することで無我の境地を得ました。そこから危機を解消する知恵と力を会得しました。悟られたお釈迦様は普通の生活にもどり、人々に熱心に教え諭す時、危機を解消する道を告げてくださいました。具体的に言うとそれは平等、尊重、慈悲、貢献でございます。お釈迦様が『金剛経』の中でこう説かれています。「法は平等で、上下に関係なし」と。これはつまり万事万物が平等であるという本質をはっきりと示しています。人類と環境の関係、民族と民族の関係、自己と他人の関係が平等であるという本質を認識すれば、様々な中心主義に対して効果的に対処できるようになります。相手を尊重する態度で人類が生存する為にある環境に向き合うことができ、相手を尊重する態度で他の民族と個人に対応できるようになります。それだけではなく、お釈迦様は人々に更にこう諭しました。慈悲の心をもって全ての衆生に向かい合い、自分が疲れを知らず奉仕することで生命の意義と価値を現し、生命の尊厳とその神聖さを成就することができると。お釈迦様は『大般若経』の中でこう説かれています。「悟りを求める衆生、偉大なる衆生は一切のものについて完全に知る心を発し、大いなる慈悲の心を一番上に置き、何も持たないことを手段とすべし。」と。

世界的危機を解消するには、人類全体が力を合わせ努力することに頼るだけではなく、人類全体が共に受け入れ、かつ人類全体を前進させる文化的価値観および宗教の信仰をリードする先達者が必要です。このような文化的価値観と宗教の信仰は、ある特定の文化と宗教だけが保持するものではなく、人類各々が持つ大なり小なりの文化と宗教に共通するものです。それはまたそれぞれの大きな文化や教派を超越するものでなければなりません。このような文化的価値と宗教の信仰とは、それぞれの大きな文化やそれぞれの宗教同士での深いレベルの対話に基づくことが必要であり、お互いの長所短所の相互補完していくことで、次第に形成されていきます。仏教は誕生した日から常に開放的、包容性を以て各種文化または各種宗教と対話し続け、それを通じて自覚的に自我を充実し自我を超越してきました。よって仏教は1つの文化と宗教の体系を構築する上で重要な役割を担うことができます。 

中国の仏教は、伝播と発展の過程で中国語系仏教、チベット語系仏教、パーリ語系仏教が形成されました。これらは全て自らそれぞれの役目を果たし、人類文明の変遷にも重要な役割を発揮してきました。過去の200年間において仏教は西洋社会に入り始め、西洋宗教および科学技術文明との対話を通じて、次第に西洋社会において積極的に深い影響を与えるようになりました。現代文明は全世界的な特徴を持ち合わせているので、将来の全世界的な新文明の形態を形成する上で、仏教が必ずや積極的な役割を発揮し、そして世界的な危機を解決する上で根本的な活路を見出せると私たちは信じております。

この十数年来、「国連ウエーサクの日祝祭」国際仏教大会が費やした勤勉な努力は、仏教を現代文明の体系に積極的に融合させ整える上で重要な貢献を果たしてきました!我々は今回の大会が大きな成功を収めることを心よりお祈りいたします。 ご清聴ありがとうございました!

以上

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