全仏が趙副会長の歓迎会

全日本仏教会は1955年8月17日、趙朴初副会長を、築地本願寺に招き、歓迎会を開いた。

午後一時、椎尾弁匡副会長、岩野真雄組織局長、中山理々国際局長ら首脳の出迎えを受け、趙朴初副会長が到着、本堂に参拝したあと、相互にあいさつを交わした。

椎尾副会長、中国代表団の入国が危ぶまれた際、鳩山総理に直訴するなど、同代表団の入国を懸命に推進しただけで、趙朴初師の来訪には、ひとしお感慨の面持ちで、「よく、いらっしゃいました。全日本仏教会を代表して、趙朴初先生の来訪を、心から歓迎いたします」とあいさつを述べた。

これに対し、趙朴初師は「私たち一行の入国に際し、大変、ご心配をおかけしたことはまことに、恐縮に存じます。椎尾先生はじめ日本の仏教徒の皆さまの格段のご配慮に、心から感謝申し上げます」と丁重な謝意を表明した。

趙朴初師は、さらに「日中両国仏教者の平和と友好を願うしるしとして、日本仏教協会の皆さまに、観音菩薩像を贈呈したいと思います。また、中国仏教協会からのメッセージをお届けいたします」といって、椎尾副会長に、金色の観音像とメッセージを手渡した。

椎尾副会長は「中国の仏教者の皆さまの願いも私ども日本の仏教者の願いも同じです。これからは、観音様の慈悲のこころを体し、両国の平和と友好のため努力したいと思います」と述べ、趙朴初師に記念の袈裟を贈呈した。メッセージの全文は次の通りである。

中国仏教協会のメッセージ(全文)

全日本仏教会殿

中国仏教徒は日本仏教徒及び日本各界共同で発起せる原子爆弾、水素爆弾を禁止する大会を開催されることに対し、熱烈に賛意を表わします。合わせて日本国民の原子兵器の禁止と平和への願いに深甚の敬意を表します。

ここに趙朴初居士が右大会に出席するため貴国に参上するに当たって、観世音菩薩像一体を献呈致します。願わくは菩薩の大慈大悲救苦救難広大霊威御加護に日本国民及び全世界の人々が平和幸福な生活を築き、永遠に戦争の脅威より離脱されることを願うものです。

大会の成功と代表各位の御清祥を、謹んでお祈り申し上げます。

一九五五年八月

趙副会長、中国仏教の現状を語る

このあと、別室で、全仏関係者と懇談会が開かれた。岩野組織局長や中山国際局長らの質問にこたえて、趙朴初師は、中国仏教界の現状を次のように語った。

「中国仏教協会の設立によって、中国仏教者は、中国全土の民族、僧俗、男女のかきねを越えて、大同団結することができました。これは有史以来のことです。

世界の仏教を大別して、漢語系、チベット語系、パーリー語系の三つに分けられると思います。今では南方少数民族とも連絡して、仏教の研究を進めています。日中両国の間で文献や資料の交換なども、お役に立つなら、進めていきたいと思います」

日本仏教各宗派の連合組織である全日本協会は、戦後、長い間、中国仏教界に門戸を閉じていたが、今回、趙朴初副会長の来日を機に歓迎の意を表し、交流への道を開いたことは、画期的なことであったと言える。

築地本願寺を辞した趙朴初師は、増田日遠日蓮宗管長の招きに応じて、午後二時半、谷中瑞輪寺を訪ね、同管長と平和運動や仏教のあり方などについて意見を交換、友好を深めた。

【日中仏教交流 戦後五十年史】 額賀章友より

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