世界調和の促進は仏教徒の神聖なる職責である

中国仏教協会副会長兼秘書長  学誠

二千年来、仏教は慈悲と平和の精神、天下を救う心情を以って、世界各国に伝播する過程で、社会の調和、民族の和睦を促進し、人類文明の進歩を推進し、その中で、重大な貢献をした。当今の世界で、局部的地区において動揺不穏な現象が表れ、衝突が絶えることがなく、各種テロリズムの事件が発生しているが、大きな面から見れば、平和を求め、発展を促し、協力を求める趨勢は依然として時代の潮流となっている。こうした情勢の下で、仏道は世界の平和、人民の安泰のために、自分たち独特の貢献をして来た。

1.世界の調和を促進することは 他人に押し付けることが出来ない仏教の責任である。

当今の世界はすでに高度に発達した時代に入り、経済のグローバル化の趨勢の下で、人類の自然界を「征服」する手段は空前に高まり、自然の富を「取立てる」範囲と数量は絶えず拡大し、自然環境と生態のバランスは厳重に破壊され、自然資源は正に迅速に消耗し、エネルギーと市場を巡って展開される争奪が益々激しさを増している。

同時に、世界的範囲における貧富両極の分化は激化し、国際的公正秩序はある程度打ち壊され、発展途上国の経済、文化と環境は有効的に保護されていない。これこそ世界の不調和の主要な原因の一つである。これと同時に、物質的享受が日増しに豊かになるにつれ、贅沢浪費の現象が日増しに際立ち、人々の仕事のリズムは緊張し、人間関係は疎遠し、安全、幸福と快楽指数は同期に向上していない。金銭崇拝主義、享楽主義に浸食され、人類の伝統的道徳は厳しい試練を受け、社会の調和と安定を厳しく脅かしている。

一部の国と地区は連年戦乱と衝突が絶えず、各種形式のテロリズム、自然の破壊による各種の天災と疾病は、人々の生命の安全を脅かしている。そのため、私たちは深い憂慮を感じないではいられない。

こうした世界範囲の危機に直面し、各国の有識の士は積極的に各種の対応策を提出しているが、如来の家業を担う四衆の子弟は、一層積極的に貢献しなければならない。昔から今日まで、人心の浄化にせよ、民衆の道徳素質の向上にせよ、或は家庭、社会調和の促進にせよ、乃至調和の取れた世界の促進と構築にせよ、いずれも元々仏教教義の根本的請願であり、仏陀の世を救う慈悲精神の生き生きとした表れである。全て理想のある、抱負のある仏教徒は、この神聖なる責任を担い、持久的平和、共同繁栄の調和の取れた世界を建設するために絶えまず努力すべきである。

2.世界の調和を促進し、人心の浄化を根本とする

心清浄なるが故に、世界は清浄なり。世界的範囲の協調を促進し、人心を浄化し、社会に奉仕し、生命教育と道徳建設を強化し、三国の仏教徒はそのために各自の努力と探索に努めるべきである。

2006年に、「協調した世界は心から始まる」を主要テーマとした第一回世界仏教フォーラムが中国で厳かに挙行され、会議に出席した各国の仏教指導者と学者は、当今世界が直面する様々な問題に対し、幅広く突っ込んだ分析と討論を交わし、各国の仏教徒に仏教の基本教義を発揚し、人心を浄化し、道徳を再建するよう呼びかけ、相互理解、相互寛容、友好協力の関係を確立し、協調した家庭、協調した地域社会、調和の取れた社会を営造し、更に進んで調和の取れた世界を構築すべきであると協調した。

今回のフォーラムは、世界平和を擁護し、調和の取れた社会を構築する中で仏教指導者と仏教徒が担うべき責任を一歩進んで理解するために積極的な役割を果たした。如何にして第一回仏教フォーラムの主旨を実行し、深化すればよいのか、仏教指導者と仏教徒は如何にして自己の歴史的使命と時代の責任を負うべきなのか、これは仏教徒の長期にわたる並々ならぬ任務である。

温家宝首相は、「異なる文明を尊重し、共に協調世界を構築する」と言うテーマの演説の中で、文化の多様性は人類文明の重要な特徴である。人類社会における文化の多様性は、自然界における生物の多様化と同じで、客観的現実である。文化の多様性を尊重してこそ、人類文明の発展があり得るのである。如何にして異なる文明の共存と発展を実現すればよいのか、つまるところは「和」にある。これはつまり、国と国の平和、人間と人間の和睦、人類と自然の調和である。

仏教の歴史的経験は、国と国、人と人、人類と自然の間の平和、和睦、調和が進展する過程で、仏教は理論の面でも、又実践の面でも、取って代わることの出来ない重要な役割を発揮している。

仏教の基本教義、例えば業感縁起、生仏平等、依正不二の思想、乃至五戒、十善、四諦、八正道、慈悲心、菩提心、六度、四攝などは、自他両利を円満とするための累劫修業の具体的内容であり、いずれも道徳を昇格し、人心を浄化する重要な意義を備え、中国仏教の基本煩悩となり、更に進んで慈悲を持って世を救い、自覚して人を悟り、共に聖域に登り、共に安楽を享受する。これは一種の完備した生命教育であり、調和な家庭、調和な社会乃至調和な世界を構築する価値傾向を現している。

仏教の信仰は、無限の生命の因果関係の基礎の上に築かれ、正しい仏教信仰の価値観は、我々を導き、自我を超越し、生命解脱に向かう人生の信念である。無限の生命の自我創始と正しい実践を肯定した前提の下で、「自分のために安楽を求めず、衆生が苦を離れるだけを願う」菩薩の精神を道理と形通りに固く戒律を守ってこそ、現実のこの世において仏教の知恵と慈悲を捧げることが出来るのである。

因果の法則は、宇宙の自然の法則である。修業を積むことが因であれば、得たるは果である。瓜を植えれば瓜を得、豆を植えれば豆を得る。悪果を避けようとするならば、善因を修業しなければならない。悪因を作り出せば、善果を得る事は絶対出来ない。古徳曰く、「因果たる者、この世に世間の聖人生まれたれば天下を治め、衆生を済度解脱する大権なり。因果がなければ、善、勧告のすべなく、悪、懲罰のすべなく、完璧になるまで論じ続け、煩悩苦悩断ち切り菩提を証明するしかない」。

仏教の縁起論は次の如く情報を私たちに伝えている。全ての有情は互いに密接な関係にあり、如何なる個体も自己の幸せと快楽を追求する場合、その他の有情と切り離すことは出来ず、必ず調和な世界を基礎にしなければならない。同時に、縁起無自性の観念も次の如く断固とした信念を提供している。如何なる事情も皆固定したものでなく、永遠に不変のものでない。当今の局部地区の動乱と紛争も例外ではない。縁起の鍵を握れば、世界の平和と人類の幸福は必ずやって来る。中国には、知るは易しいが行なうは難しいという古い言葉ある。鍵は私たちが自分の命をかけて仏陀の教えを実践するかどうかにある。時空の因縁に応じて、国と国、人と人、人と自然の間の平和、和睦、調和の新しい局面を切り開くことになろう。

3.世界の調和を促進し、共同協力を強化する

公民道徳の建設を推進し、調和の取れた社会環境を構築し、更に進んで世界の調和を促進するには、各界の密接な協力が必要である。中国の仏教徒は社会の道徳建設、文化建設に積極的に参加し、社会の調和を促進するために努力している。例えば、

(1)中国の仏教の大慈大悲の精神を発揚して、一部の国或は地区に発生した厳重な自然災害、例えば地震、旱魃水浸し、疫病などの災害時に、積極的に国際的救援活動に参与し、組織的募金活動を通じて献金し、罹災地区の民衆に力の及ぶ限りの援助を提供した。

(2)中国仏教は各宗教間の相互尊重、平等対話、友好協商を提唱し、共に国際協力を展開し、異なる民族、異なる宗教間の仇殺しを制止するため、各民族間、各宗教間と各国間が調和の取れた付き合いを進め、共同発展、共同繁栄を求める国際社会の新秩序を確立し、相互援助と相互協力を進めている。

(3)中国仏教は、国際的会議を組織或はこれに参加し、世界平和の擁護、人類の生存と発展に危害を与える各種の戦争、テロリズム及びその他のホットポイント問題について検討し、関係方面に呼び掛け、提言し、また、世界平和の擁護、世界調和の促進行動に参与するよう広範な民衆を動員した。

(4)中国仏教と韓国、日本の仏教は、古くから東アジア諸国の友好関係を結ぶ「黄金の架け橋」となっている。私たちは今後も引き続き韓国、日本の仏教徒の友好往来と仏教文化の交流活動を展開し、韓国、日本人民との相互理解を増進し、協力を強化し、新しい努力と探索を絶えず進めるよう期待する。


大徳の各位、同道の各位

調和の取れた社会の構築、調和の取れた世界の構築は、当今世界各国の有識の士の共通した話題であり、仏教文明が世界の調和を促進する面で果たす独特の価値は、日増しに多くの人々に認識され、受入れられるようになった。この得がたい歴史的チャンスに直面して、私たち三国の仏教界は、引き続き友好交流を強化し、「黄金の架け橋」の関係を絶えず打ち固め、一層広い視野を以って一層積極的な態度で、一層深く突っ込んだ対話と交流を進めなければならない。中国の仏教界は、韓国、日本の仏教界と共に手を携え、アジアと世界平和を擁護するために積極的な貢献をするよう心から願っている。

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